Nonprofit Organization Tokyo Lighthouse | |
どれだけ見えるかより、どうやってみるか | |
設立趣旨 | |
日本のこれまでの視覚障害者に対するサービスは非常に遅れている。 その一つは、サービスの対象者が身体障害者福祉法(以下、法)の定める視覚障害者に限定されていることである。糖尿病網膜症や加齢黄斑変性など、治療が困難な眼疾患のために視機能の低下をきたす者をはじめ、視機能の低下が法で定める程ではないが、その低下が原因で日常生活に困難を抱える者が増加している。しかし現行の制度下では、このような視覚障害者は必要なサービスを受けることができない。 二つ目は、現行のサービスでは、心身健康で知能の高い全盲者がその主な対象者として考えられてきたことである。現行のサービスは、そのサービスを受けることのできる視覚障害者の約9割におよぶロービジョン者、すなわち、全盲ではないが視機能の低下が原因で日常生活に困難が生じている者のニーズに必ずしも合致するものではない。 三つ目は、施設入所型サービスが視覚障害者に対するサービスの主流であることである。視覚障害者の高齢化、慢性疾患を抱えた者、家族生活、職業生活を継続しながらの訓練、実生活空間での訓練の必要性など、従来の施設入所型サービスでは対応の困難な状況が広く見られる。 近年、眼科においては、前述したロービジョン者へのサービスが発展している。しかし、眼科でのサービスは、ロービジョン者の初期状態の評価、ニーズ調査、読書エイドの処方に留まっており、それを越えるサービスについては視覚障害者関連施設との連携を図るしかその方策がない。ところが、そのような施設は前述のような問題を抱えており、眼科内のニーズに速やかに対応してもらえない場合が少なくない。 このような問題に挑戦し、視覚障害を抱えて生きる者の問題を将来にわたって解決するためには、視覚障害にかかわる分野の専門家が問題に対して柔軟に対応できる組織が不可欠であると考え、1997年に「月例ロービジョン研究会」(以下、研究会)を結成し、継続してその問題の解決策を探ってきた。これまでこの研究会を通じ、法の定義に関わらず、視機能の低下により日常生活に困難を抱えるロービジョン者に対するサービスを試験的かつボランティア的に提供してきた。そんななか、我々が提供するサービスをより世の中に普及させ、より多くの視覚障害者にサービスを提供するためには、これまで以上の組織的取り組みが必要であると感じ、我々は、特定非営利活動法人 Tokyo Lighthouse を設立し、視覚障害者に提供するサービスの安定化を図ることを決断した。
1997年 月例ロービジョン研究会 結成 特定非営利活動法人 Tokyo Lighthouse は、研究会で培われた新しい概念や技術を実際に応用し、臨床や実践を行う活動組織であり、また視覚障害をもつ者からニーズやサービスに対する評価を受ける活動組織である。この組織は、我々が研究と実践を社会発展のための両輪のものとして認識していることの現れでもある。 |